完全に成熟する前、人間でいうと「思春期」にセックスした場合、その後の神経や体の発達に悪影響を与える可能性があるという研究が、2011年にオハイオ州立大学の研究者らによって発表されました。
研究者たちは、人間でいうと思春期にあたる誕生後40日の雄ハムスターをメスのハムスターを交尾させました。そして、その雄ハムスターを成長させ、若いうちに交尾していない普通のハムスターと比べました。
その結果、思春期に交尾したハムスターには、普通のハムスターと比べて「抑うつ的な行動」「成長の抑制」「小さな生殖組織」「未発達な脳組織」というネガティブな影響が見出されたのです。
さらに、思春期に交尾したハムスターの脳の一部では、「インターロイキン1(IL-1)」という「炎症」に関わっているとされる遺伝子が高いレベルで発現していました。これは、脳で炎症が起こっている可能性を示しています。
そのうえ、それらのハムスターには「自己免疫疾患」の兆候すらありました。自己免疫疾患は自分自身の細胞を異物として免疫システムが攻撃してしまう病気ですね。
これらのネガティブな影響は、実際の身体の損傷に結びつくほどは強くありませんでした。しかし、これらの影響は「思春期のセックス」がストレスとして発達途中の身体に認識された結果ではないかと考えられます。
「思春期におけるセックス」の研究は、以前は主に女性を対象に行われていました。また、その手法もアンケート調査によるものが主体でした。今回の実験は動物実験ではありますが、生理学的実験手法を用いています。そこが非常に斬新なところです。
人間でも、思春期において脳や神経が劇的に発達することが知られています。この研究はハムスターを使った動物実験ですが、研究者たちは人間にも適用できるのではないかと考えています。