アメリカの食品医薬品局(FDA)は2007年、画期的な経口避妊薬を認可しました。
それは、Wyeth(ワイズ)社の「lybrel(リブレル)」という薬です。すでにアメリカでは発売されています。
一般的な経口避妊薬(ピル)は、21個の効き目のあるピルと7個のプラシーボ(偽薬)をパッケージし、定期的に出血が起こるような処方になっています。一方リブレルは、28日分すべてが「ピル」になっており偽薬がありません。つまり、一年間飲み続けても、一回も出血しないですむのです。
普通のピルと同様、リブレルには、血栓症、乳がん、子宮頸癌、心筋梗塞、脳卒中、うつ病の発生率が少しばかり高まるというリスクがあります。しかしながら、月経がないという点ではまったく問題がないと考えられているそうです。
実は、プラシーボを服用している時の出血は月経とは根本的に異なるもので、むしろホルモンを中断することによる症状なのです。
とはいえ、FDAでは、リブレルの販売後の追跡調査を義務付けています。
ちなみに、ピルの服用による副作用は悪いことばかりではありません。ピルの服用により、子宮内膜症の発生率が下がることが知られています。
一般的に「割礼」とは、ペニスの包皮を切除し、包皮が亀頭を覆わなくなるような処置のことを指します。
ユダヤ人、エジプト人、アラブ人が「割礼」を行うことはよく知られていますが、彼らの「割礼」は通過儀礼(イニシエーション)として行われます。世界の他の地域でも通過儀礼としての「割礼」の風習が認められます。今回はオセアニアのちょっと変わった「割礼」を紹介しましょう。
オセアニアでは、「上部割礼」と呼ばれる割礼が行われます。これもアラブ地域と同様、通過儀礼として行われます。フィリピンのセブ島では、伝統的に9~10歳の少年がその「手術」を受けます。
割礼を行うために、まずペニスを竹でこしらえた道具で支えます。包皮を引っ張り、ナイフを「縦に」あてがいます。そのナイフを石などで叩くことで包皮を二股に裂くのです。つまり、「上部割礼」では包皮を縦に割るだけで切り取ることはありません。
処置後はすりおろしたココナッツで傷口を覆い、傷口がふさがるまで海水浴を奨励されるそうです。彼の地では現在でもこの風習がのこされており、病院で処置されるということです。
図(上の小さな棒片)は、大英博物館に収蔵されている割礼用のナイフです。ニューカレドニア島のものだそうです。収蔵されたのは1898年。古来この地域では、このような道具で割礼を行なってきたのでしょうね。
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ライオンや霊長類などでは「嬰児殺し」という行動が知られています。
「嬰児殺し」は生殖能力があり、幼い子供をもつメスがいる群れに、新しいボスや複数のオスが入ってきた時に起こります。
この残酷な行動は、新しく群れに入ってきたオスが、母親であるメスに自分の子供を妊娠させるためであると考えられています。以前のボスの子供たちは、新たなオスの繁殖にとっては邪魔者でしかないのです。
ネズミの仲間では、この「嬰児殺し」をさらに進化させたと思われるような現象が知られています。その現象は、発見したイギリスの生物学者の名をとって「ブルース効果」と呼ばれています。
「ブルース効果」とは、妊娠したげっ歯類のメスが、見知らぬオスに接触されると流産するという現象です。「ブルース効果」が確認されている種は12種に及びます。ある実験では88%ものメスが、見知らぬオスとの接触によって流産したそうです。
この現象は、「どうせ見知らぬオスによって嬰児殺しをされるなら、出産や育児で無駄なエネルギーを投資するよりも、早めに流産して次のオスの子供を妊娠したほうが効率が良い」ためであると解釈されています。まさに、嬰児殺しを一歩すすめた仕組みですね。
しかし、この現象は実験室でしか確認されず、自然界でも実際に起こっているかどうかは疑問視する研究者もいるそうです。
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