「セックスでもマスターベーションでも射精という行為に変わりはない、わざわざ女性とセックスするなんて面倒くさい」
世の中には、そんなことを言う男性もいるそうです。しかし、それは本当なのでしょうか?マスターベーションとセックスには違いは無いのでしょうか?どうやら、身体はそうは思っていないようです。
ベルギーの研究者Gerrisは、セックスによって得られた精液とマスターベーションによって得られた精液の質を比較する研究を行なっています。一連の研究によると、マスターベーションによるものと比較して、セックスで射精された精液の中には、70~120%も多い精子が含まれているそうです。精液の量自体も増えます。前立腺からの分泌液が25~45%も増えるそうです。
また、運動性も形態も、セックスで射精された精子のほうが質が高いそうです。。
しかしながら、なぜ実際のセックスのほうが精液の質が上昇するのかは分かっていません。セックスという行為の中にマスターベーションとは違う、なんらかの因子があるはずなのですが、それはまだ明らかにされていません。
いずれにせよ、身体は「セックスとマスターベーションは別物」と認識するのは間違いないようです。
射精は、ペニス付け根辺りにある筋肉(球海綿体筋)が10回から15回ほど収縮するのにともなって起こります。射精する精子の40%以上は、最初の1回から2回目の筋肉の収縮のときに放出されるそうです。
つまり、「膣外射精」したつもりでいても、ほんの少しのタイミングのズレでほとんどの精子が膣内に出されてしまっているかもしれないのです。
だから「膣外射精」は確実性が極めて低い避妊法なんですね。子供を作る予定がない方は気をつけてください。
さて、その射精の瞬間、精液はどのくらいのスピードで飛ばされるのでしょうか。
こんなことも調べている人がいます。精液の速度はおよそ時速50キロだそうです。
男子短距離走の世界記録を持っているウサイン・ボルト氏のトップスピードが44キロほどだそうですから、精液の射出スピードはそれよりも速いということですね。
ちなみに、射精された精子の飛距離にも世界記録があります。その距離はなんと約5.5メートル!ただし、こちらの記事にもありますように、精液が遠くに飛ぶことにあまり意味はありません。
たしかに、精液の中にタンパク質がたくさん含まれているのなら、マスターベーションのし過ぎでタンパク質が欠乏し成長に影響を与える、なんてことが起こるかもしれません。
そういう観点から、今回は精液の栄養成分を見てみましょう。
大体、一回の射精で放出される精液は多くても5mlくらいです。普通はティースプーン一杯程度ですね。その中に含まれる栄養素はどのようになっているのでしょうか。以下が精液の栄養成分です。
総エネルギー 20カロリー
総脂質 6mg
総炭水化物 11mg
コレステロール 3mg
タンパク質 150mg
うーん。微々たるものですね。
タンパク質含量でいえば、標準的な納豆1パックに含まれるタンパク質が約7g(7000mg)です。射精によって失われる精液などはせいぜい納豆数粒分でしょうね。
そういうことですので、成長期の方やトレーニングをされている方も気にせずにマスターベーションしてください。
とはいえ、マスターベーションをすると不応期(Refractory period)と呼ばれるグッタリと疲れた状態になってしまいますので、トレーニング前や試合前などは止めておいた方がいいかもしれません。
今日は「もしあなたが精子だったら」と仮定して、その競争を想像して見ましょう。
1)膣(酸の海)
一度に射精される精子の量は、1億から3億といわれています。
あなたが卵子と受精するためには、日本の人口以上ものライバル達との競争を勝ち抜かなければなりません。
膣内に放り出されたあなたは、子宮口を目指します。しかし、膣内はあなたにとって毒の海のようなところです。膣内は酸性に保たれており、ライバルたちの多くは子宮にたどり着くこともできずに死んでしまいます。
2)子宮(殺戮の大地)
生命力が強く、運もよかったあなたは、膣から子宮頚管に入ります。無数のライバルたちとひしめきあいながら細い子宮頚管をくぐり抜けると、そこが「子宮」です。ここは幅750メートル長さ3キロメートルほどの、見渡すかぎりの広大なスペースです。
この広大なスペースを、ライバルたちと競争しながら「卵管」を目指すわけです。
子宮では、あなたのライバルは他の精子だけではありません。子宮内には恐ろしい無数の白血球が巡回しており、もしつかまれば異物として殺されてしまいます。
幸運に恵まれ、白血球から逃れる能力をもった精子だけが、この殺戮から生き延びることができるのです。
3)卵管(究極の二者択一)
あなたは、白血球の追跡から逃れつつ卵管を目指します。しかし卵管につながる穴は2つあり、排卵される卵子はどちらか1つにしかありません。
あなたは、このどちらから卵子が排卵されてくるか、嗅ぎ分けて選択しなければなりません。もし、選択を間違ってしまうとそれは競争からの脱落を意味します。待っている運命はやはり「死」です。
4)卵管膨大部(つかの間の楽園)
正しい卵管を選択したあなたは3キロほど泳ぎ、「卵管膨大部」と呼ばれる場所で卵子が排卵されるのを待ちます。
ここはあなたにとって非常に過ごしやすい場所で、まるで楽園のようです。あなたを襲う敵もいません。しかし、ここまで到達できる精子はたったの10から数100といわれています。ここまでたどり着けるものはエリート中のエリートと呼ぶにふさわしいでしょう。
5)受精(最後のレース)
精子の寿命は一週間ほど。この期間内に卵子が排卵されなければ当然受精することはできません。受精できるかどうかは運も大きく作用します。
卵子が排卵された瞬間、エリートたちによる最後のレースが始まります。あなたもふくめた全ての精子が一斉に卵子を目指します。そして、一番初めに卵子に触れることができた、たった一つの精子だけが栄冠を勝ち取ることができるのです。
あなたの数十倍はあろうかという巨大な卵子に飛び込むと、卵子は波動に包まれます。その波動は他の精子による受精を防ぎ、卵子はあなたをその中に取り込みます。そう、「あなた」という新たな生命の誕生です。
もし他の精子が受精していれば、あなたとは全く違った人間が誕生したことでしょう。そんな過酷で偉大な競争を勝ち抜いてきたのが、私たちです。そう考えるとちょっと不思議な気分になりませんか。
精子の遊泳は「鞭毛」をつかって行います。それでは、生物間で精子の遊泳スピードに差があるのでしょうか?チンパンジー、アカゲザル、ゴリラ、ヒトでは、どの生物の精子が速いと思いますか?
カリフォルニア大学の科学者たちの研究によると、チンパンジーとアカゲザルの精子は、ヒトとゴリラの精子よりもはるかに速く泳ぐそうです。
この理由はおそらく、それぞれの生物の交尾パターンと関係があります。
チンパンジーとアカゲザルは乱婚なのに対し、ゴリラとヒトではあまり乱交はしません。つまり、チンパンジーとアカゲザルの精子は、他のオスの精子と競争する必要があるのです。乱交を行う生物では、すばやく泳ぐ精子ほど他の精子との競争に勝ち、卵子と受精するチャンスが増えたのでしょう。
精子の戦略は泳ぐスピードだけにはとどまりません。乱交を行うチンパンジーなどでは、「精子の量が多く」また「精液の粘度が高い」ことも知られています。精子の量がおおければそれだけライバルを圧倒することができますし、粘性が高ければ自分の精液でメスの膣に「蓋」をすることができます。
一口に精子といっても、生物によっていろいろ工夫しているのですね。
ちなみにゴリラは、強いオスがハーレムを形成しメスを独占します。ゴリラの社会では、精子間競争などは起こりえません。そのため、ゴリラの精子は少なく、粘性も低く、泳ぐスピードも極めて遅いそうです。
それではヒトはどうなのでしょうか?どうやらヒトは、チンパンジーとゴリラの中間の精子の能力を持っているそうです。激しい乱婚ではないけれど、かといって完全な一夫一婦制が実現しているわけでもない(浮気がある)。まさにヒトの生殖パターンをあらわしているのですね。
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アレルギーは、さまざまなものに対して起こりえます。花粉、ハウスダスト、食品……。不幸なことに、世の中にはパートナーの精液に対してアレルギーを起こしてしまう人もいます。
そういう人は、オーラルセックスであれ、アナルセックスであれ、膣内射精であれ、どんな形のセックスでも精液に触れるとかゆみ・ヒリヒリした感じ・まれには呼吸困難などを起こしてしまいます。
精液に対するアレルギーは、パートナーの精液だけにおこる場合もありますし、全ての男性の精液に反応する場合もあります。
とにかく、花粉やハウスダストのように、体が精液を自分の非自己のタンパク質だと認識してしまうのです。この症状の場合、体内に入った精子は女性の免疫システムにより攻撃されてしまうので、妊娠することができません。
しかし、多くの場合、精液アレルギーは治療が可能です。脱感作療法が効果的であるといわれています。アレルギーを引き起こす物質に繰り返しふれて感度を下げていく方法です。
つまり、パートナーの精液に繰り返しふれるわけですね。定期的なセックスです。
ただし、アレルギーは時に深刻な症状を引き起こすことがありますし、必ずしも脱感作療法で治るというわけでもありません。もし、精液アレルギーの可能性が疑われたら、自分で判断することはせず、かならず医師に相談してくださいね。
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精子は精液中に1%しか含まれておらず、のこりは糖分・脂肪・タンパク質そしてアルカリ性の液体でできています。
それでは、精液の味はどんなものなのでしょうか?
実は、精液にはきまった味はありません。そう、精液の味は食べたものに影響されるのです。苦味があるコーヒーやアルコールを摂取すれば苦くなり、パイナップルやグレープフルーツなどの果物を食べればまろやかになります。肉食の人の精液は濃密で、ベジタリアンの人はさらっとしています。
BBCが行った味覚テストによると、男性が3日間食べ続けたものをパートナーの女性は”精液をテイスティングすることにより”当てたそうです。
パートナーに精液を味わってもらうチャンスがある人は、食べ物には気をつけてくださいね。にんにくなど、香りの強い食品は避けたほうがよさそうです。
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2005年、オーストラリアで行われた研究です。
18歳から35歳の52人の男性に、「3人の女性が写っているポルノ写真」と「2人の男性と1人の女性が写っているポルノ写真(いわゆる3P)」を渡し、それぞれマスターベーションしてもらいました。そして、精液を回収し精子を詳しく調べたのです。もちろん、それぞれの実験は別々の日に行われました。
精液中の精子の量、精子の運動性、そして精子の遊泳能力を測定した結果、なんと驚くべきことに、「2人の男性と1人の女性が写っているポルノ写真」を見て射精した時の方が「3人の女性が写っているポルノ写真」を見たときよりも圧倒的に精子の活性が高かったのです。
この結果は、他の男性との精子間競争が激しくなるほど、より多くの質の高い精子を射精するようになることを示しています。しかもそれは、ただ射精の際に他の男性を見るという視覚的な情報だけで即座に起こることを意味しています。
男性が射精する時、精子の質についても指令をだしている可能性があるなんて、驚くべきことだと思います。
この論文の執筆者の1人であるWestern Australia大学のレイ・シモンズ博士によると、確証をとるためには更に多くの研究が必要とのことですが、今後の研究が楽しみですね。おそらく、不妊治療に大いに役立つことでしょう。
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その中でも面白いのが、「射精された精液の平均飛距離」についての研究です。当時は、精液が勢い良く飛ぶことで受精率を上げると考えられていました。アダルト漫画などでも、精液が長距離を飛ぶ描写が見られますね。実際はどうなのでしょうか?
彼は300名の男性に対して報酬を支払い、彼らの前で自慰行為を行わせ、その飛距離を計測しました。
その結果、約75%の男性の精液は射精後その場でダラリと垂れる程度で、残りの25%の男性では平均して30~60センチほど飛ぶことが分かりました。ちなみに、この調査での最高飛距離はなんと、2メートル40センチです!
しかし最高飛距離の男性についてはさておき、この研究では、大多数の男性の精液はほとんど飛ばないということが明らかになったわけです。
それもそのはずで、実は射精された直後の精子には受精能力がありません。精子は、膣のなかでほんの少しの間「熟成」されてから受精能力を獲得するのです。つまり、物凄い勢いで精液を子宮に浴びせかけても、生物学的にはあまり意味がないのです。面白いですね。
飛距離をコントロールすることは難しいようですが、量を増やすために必要な栄養素は知られています。興味のある方はこちらへどうぞ。