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032012
ブルース効果
ライオンや霊長類などでは「嬰児殺し」という行動が知られています。
「嬰児殺し」は生殖能力があり、幼い子供をもつメスがいる群れに、新しいボスや複数のオスが入ってきた時に起こります。
この残酷な行動は、新しく群れに入ってきたオスが、母親であるメスに自分の子供を妊娠させるためであると考えられています。以前のボスの子供たちは、新たなオスの繁殖にとっては邪魔者でしかないのです。
ネズミの仲間では、この「嬰児殺し」をさらに進化させたと思われるような現象が知られています。その現象は、発見したイギリスの生物学者の名をとって「ブルース効果」と呼ばれています。
「ブルース効果」とは、妊娠したげっ歯類のメスが、見知らぬオスに接触されると流産するという現象です。「ブルース効果」が確認されている種は12種に及びます。ある実験では88%ものメスが、見知らぬオスとの接触によって流産したそうです。
この現象は、「どうせ見知らぬオスによって嬰児殺しをされるなら、出産や育児で無駄なエネルギーを投資するよりも、早めに流産して次のオスの子供を妊娠したほうが効率が良い」ためであると解釈されています。まさに、嬰児殺しを一歩すすめた仕組みですね。
しかし、この現象は実験室でしか確認されず、自然界でも実際に起こっているかどうかは疑問視する研究者もいるそうです。
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