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032012
包茎治療は前立腺がんのリスクを下げる
割礼や包茎治療による包皮切除は前立腺がんリスクを下げるかもしれません。といっても、これは初めてセックスする前に手術した場合だけの特典のようです。
シアトルにあるフレッドがん研究センターのWrightらは、3000人の男性に「包皮切除をしたかどうか」また「したとしたら、いつしたのか」を質問しました。これらの3000人のうち、約半数は前立腺がんにかかっている人々でした。
その結果、包皮切除したグループでは、しなかったグループとくらべると、15%ほど前立腺がんにかかっている人の数が少ないことがわかりました。また、悪性の前立腺がんで比較すると18%も低いことがわかりました。
しかし「初体験」の後に包皮切除した人々では違いがみられなかったことから、「包皮切除によるリスクの低減」は初体験前にした場合に限定されるようです。
研究チームは、前立腺がんは性感染症による前立腺の炎症によって促進されると考えています。包皮切除は「病原菌の温床となりやすい包皮の下の粘膜層」を切除してしまうため、切除した人々のペニスでは「前立腺の炎症につながる病原菌」の増殖が抑制されているのではないかと考えられます。
この研究に関連して、たくさんのセックスパートナーを持つかセックスを高頻度で行う男性では前立腺がんのリスクが40%まで高まることが知られています。
一方、頻繁にマスターベーションする男性では前立腺がんのリスクは下がります。これらのことは、性感染症によって引き起こされる前立腺の炎症が「がん」につながる可能性を強く示しています。
もともと、宗教的儀式である「割礼」は感染症を防ぐ目的で発生したといわれています(過去記事:なぜ「割礼」が生まれたか)。そういう意味では、この研究結果も納得ですね。しかし、ほかの記事(包茎ペニスはダメなペニス?)でも書きましたが、包皮には繊細な感覚神経が多数分布していることが知られており、それを切除してしまうことはセックスでの喜びを低下させてしまうかもしれません。
切るべきか、切らざるべきか。包皮に富む男性にとっては悩ましい問題ですね。