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032012
なぜ女性は生理前に憂鬱になるのか?
生理が近づくといつもと調子が変わる女性がいます。2011年3月、京都大学の研究者たちが「生理期の女性の微妙な変化を捉える」ための、よくデザインされた実験手法を発表しました。
以下、プレスリリースの引用です。
閉経前の成人女性の大多数は排卵後の生理がちかづく時期になると、多少とも気分がおちこんだり、鬱になったりすることは以前からよく知られています。欧米ではPMS(前メンス症候群)という診断名が流布しています。しかし、いままでその判断は本人への質問紙による、主観的な気分の表現のききとりにとどまり、気分の変化を客観的にとらえる試みはまったく行われてきませんでした。
最近、正高信男 霊長類研究所教授らは、60人の29~30歳の健康な独身女性を対象に生理後5日(卵胞期)、13日(排卵期)、25日(黄体期)に8枚の花の写真と1枚の蛇の写真を同時にみせ、そのなかから蛇の写真を正しくできるだけ迅速にみつけだすという視覚探索課題の実験をおこない、その成績を比較する実験をおこないました。その結果、黄体期には卵胞期、排卵期にくらべ、蛇の発見が早くなる事実をみいだしました。
おもしろいことに、反対に8枚の蛇の写真と1枚の花の写真を同時にみせ、そのなかから花の写真をみつけだす成績には変化がありません。嫌悪刺激に対する感受性だけが、生理前に特異的に亢進すると考えられます。この手法は、人間の不安状態を簡易にかつ信頼性が高い状態で計測する可能性をひらいたものと考えられます。
蛇の画像を見つけ出すスピードが早くなったということですが、論文を読んでみるとその差はわずか0.2秒だそうです。非常に微妙な変化をとらえた実験なんですね。
この「前メンス症候群」は生理がくると消失しますが、妊娠して生理が来ない場合はその症状は持続するそうです。
このことから研究者たちは、「ヘビをより早く発見する能力の高まり」は「妊娠した母体を外敵から守るための準備」だと考えているようです。そうだとすると、女性の身体はよくできていますよね。
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